★動脈硬化性疾患の危険因子の性差と予防に関する多施設共同前向きコホート研究(NADESICO study) ★冠動脈疾患診断およびリスク層別化における冠動脈CTの新機能的指標の意義の性差と費用効果分析(NADESICO-FFRCT study) ★性差を加味した冠動脈疾患AI診断システムに関する研究開発(NADESICO project)

研究概要

1.背景

女性の冠動脈疾患は高齢発症でリスク重積例が多く、進行性血管病変合併率が高い。また、診断や治療の機会が少なく重症化しやすい社会的な背景も合わせ、男性に比し予後が悪い。従って、性差に基づく冠動脈疾患の診断、精緻な予測と予防法の開発は喫緊の課題である。わが国における心血管疾患対策を推進するために、性差が心血管疾患の発症、進展、予後に与える影響を医学的、社会的な側面から包括的に検討しエビデンスを作成することの意義と必要性は大きい。
冠動脈CT検査は、冠動脈疾患が疑われる患者の非侵襲的検査の中で最も頻度が高く、その安全性と臨床的有効性は報告されている。我が国においても、冠動脈CT検査は他の非侵襲的検査の群を抜いて高く、年間40万件を超え、実施件数は上昇し続けている。しかしながら、他の非侵襲的検査(機能的検査)に比べ、冠動脈CT検査は心臓カテーテル検査を50%も増加させ、さらにその後の心臓カテーテル治療は2倍になるにもかかわらず、心血管イベントは抑制させないとも報告されており、冠動脈CT検査の意義に関しては議論の分かれるところである。さらにその性差に関する報告はほとんどない。
このような中、我々は、冠動脈の動脈硬化の性差の解明を目的とした多施設前向きコホート研究(NADESICO研究)を実施してきた。NADESICO研究は、冠動脈疾患が疑われる50〜74歳の男女1,188人からなる全国規模の前向きコホート研究で、冠動脈CT検査による冠動脈動脈硬化指標と心血管イベントの関連の性差解明を目的とした現在進行中の研究である(UMIN000001577,当センター倫理委員会承認済M20-029-6)。
 昨年度我々は、このNADESICO研究ベースラインデータを用いて、冠動脈疾患が疑われる患者において、動脈硬化進展様式には性差が存在することを証明し、冠動脈疾患診断・予後予測・治療に関し、性差を加味した(特に女性に意義の高い)診断マーカーおよび診断アルゴリズムの必要性を明らかにした(論文投稿中)。

2.目的

本研究の目的は、冠動脈疾患が疑われる患者に対し、冠動脈CT検査による動脈硬化指標と心血管予後の関係の性差を解明し、さらに性差に基づく冠動脈CT検査の医療技術評価を行うことにより、冠動脈疾患の診断・予後予測における冠動脈CT検査の意義の性差を総合的に明らかにすることである。

3.研究デザイン

 多施設後向き観察研究

4.対象

 本研究は、NADESICO研究参加者*を対象とする。研究対象者として、下記のすべての選択基準に合致し、いずれの除外基準にも抵触しない者を登録する。

● 選択基準
以下の基準をすべて満たす症例

  1. 冠動脈疾患の疑いで冠動脈単純CTスキャン及び冠動脈造影CT検査(64列またはチャンネル以上)を施行したもの。
  2. 年齢50歳以上75歳未満の患者。
  3. 患者自身により文書により同意を得られるもの。

● 除外基準
以下の基準に1つでも該当する症例は除外とする

  1. 心筋梗塞、冠動脈血行再建術(PCI、CABG)の既往がある者。
    ただし、これから冠動脈血行再建術を予定しているものは除外しない。
  2. 川崎病の既往
  3. 冠動脈奇形を有する者
  4. 家族性高コレステロール血症の患者
  5. 明らかに予後が制限される担癌患者
  6. 現在 透析療法を行っている者
  7. 重篤な精神・神経疾患で治療中の者

5.研究期間

 予定研究期間:倫理委員会承認日から2024年3月31日
他機関から情報の提供を受ける期間も同様

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