★動脈硬化性疾患の危険因子の性差と予防に関する多施設共同前向きコホート研究(NADESICO study) ★冠動脈疾患診断およびリスク層別化における冠動脈CTの新機能的指標の意義の性差と費用効果分析(NADESICO-FFRCT study) ★性差を加味した冠動脈疾患AI診断システムに関する研究開発(NADESICO project)

研究概要

1.背景

欧米においては30年前から生物学的、医学的、社会的な性差に基づく医療を推進する体制作りが開始され、女性のための心血管疾患予防ガイドライン(米国心臓病学会)なども公表されている。しかし、我が国の医療において性差に関するエビデンスは未だ乏しく、海外のデータやコンセプトがそのまま流用される状況である。このような状況を脱却するための調査研究は緒についたばかりである。平成18–19年度の厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業H18–子ども–一般–003)「循環器病発症と重症化に及ぼす性差と最適治療法の探索に関する研究」において性差に関するエビデンスは集積しつつあるがまだ十分ではないことが明らかとなった。日本における性差医療への取り組みは、女性が医療機関に受診しやすい環境を作るなど、外形の導入にとどまっており、特に循環器分野における“性差に基づく疾病の差異に関するエビデンスの集積”はほとんど実績がない。わが国における循環器病対策を推進するために、性差が循環器病の発症、進展、予後に与える影響を医学的、社会的な側面から包括的に検討しエビデンスを作成することの意義と必要性は大きい。

また、我が国におけるマルチスライスCT装置の普及に伴い、冠動脈疾患を疑われ冠動脈CT検査をうけた患者や検診受診者が激増し、ルーチン検査として定着の傾向も窺えるが、十分なエビデンスに基づき臨床応用されているとはいえない。

2.目的

多施設研究NADESICO研究は、冠動脈CT検査による冠動脈内腔狭窄・動脈壁性状指標(プラークの有無とサイズ、石灰化、含有脂質量等)を共通検査項目として設定した上で、男性を参照として女性の冠動脈内腔狭窄・動脈壁性状指標の関連因子を明らかにすることを主要目的としている。さらにそのコホートを追跡することにより冠動脈狭窄・冠動脈石灰化を有する女性の予後を明らかにする。

3.研究デザイン

 多施設前向きコホート研究

4.対象

 50〜74歳の冠動脈疾患が疑われ、冠動脈単純CT及び冠動脈造影CT検査を行えた男女

5.研究期間

 倫理委員会承認後より2020年3月とする。

6.臨床試験登録システム

 UMIN-CTR ID: UMIN000001577

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